ほっこりエピソード

つながるの訪問看護の現場には、日々さまざまな出会いがあります。
好きなことにもう一度挑戦できたこと。
大切な人と、思い出の場所へ出かけられたこと。
何気ない毎日の中に、新しい楽しみが生まれたこと。
私たちが大切にしているのは、病気や障がいだけを見るのではなく、その方がこれまで歩んできた人生や、大切にしている想いに寄り添うことです。
ここでは、日々の訪問の中で生まれた、心がほっこりと温かくなった出来事をご紹介します。
エピソード1
“描くこと”がつないだ想いとつながり
脳出血の後遺症により、重度から中等度の失語症がある利用者様のお話しです。
7年ほど前に発症されてからは、思うように言葉を話したり、相手の言葉を理解したりすることが難しくなり、不安やもどかしさを感じながら日々を過ごされていました。
私たちは、言葉だけではなく、文字やジェスチャー、絵なども用いながら、少しずつコミュニケーションを重ねていきました。
そんな関わりの中で、以前絵を描かれていたことを知りました。
ある日、利用者様が愛犬の絵を描いて見せてくださいました。
その絵はとても繊細で、温かさが伝わってくる作品でした。
それをきっかけに、利用者様は毎日のように絵を描かれるようになりました。
「この素敵な作品を、もっと多くの方に見ていただきたい」――そんな思いから、作品展への応募をご提案しました。
いくつかの作品展では入選や優秀賞をいただくことができ、それが利用者様の自信や喜びにつながっていきました。
また、社交的なお人柄でもあるため、失語症当事者の会をご紹介し、一緒に参加しました。
今では交流の場も楽しみのひとつとなっています。
現在は、ご友人や失語症当事者の会の仲間へ贈るために、日々絵を描かれています。
一枚一枚に想いを込めて描かれた作品は、多くの方に笑顔や喜びを届けています。
また、作品展への出展にも意欲的に取り組まれており、新たな目標にもつながっています。
私たちはこれからも、一人ひとりの「できること」や「好きなこと」を大切にしながら、その人らしい生活を支えていきたいと考えています。

エピソード2
お花とともに過ごす、楽しみのある毎日
脳出血の後遺症により、右片麻痺と失語症がある利用者様。
お花が大好きな方で、玄関先の瓶にお花を飾ったり、中庭のお花に毎日水やりをされたりと、日々大切に育てておられます。
ある日、中庭のお花がポットのまま置かれていたため、「鉢に植えると、もっと華やかになりますね。」とお話ししたところ、「植え替えたいけど、自分ではできないし、やってくれる人もいない。」と話してくださいました。
そこで、「リハビリで一緒にやってみましょう!」とご提案すると、すぐに鉢と土を用意してくださいました。
リハビリの時間に植え替えを行い、一部お手伝いをしながらも、ほとんどの作業をご自身で取り組まれました。
植え替え後のお花を見て、「かわいくなった!」と嬉しそうな笑顔を見せてくださいました。
「これから毎日水やりをするのが楽しみ!」とも話されており、好きなことを通じて、生活の楽しみや意欲につながる素敵な時間となりました。

エピソード3
家族と一緒に。梅の花と笑顔に包まれた一日
肝硬変・肝癌にて治療を続けられていたご利用者様。
入退院を経ながらも、「自宅で過ごしたい!」という強い希望を持たれ、在宅生活を送られていました。
2月のある日、外出支援としてご家族様とともに梅まつりへ出かけました。
訪問時には「準備ばんたーん!」と笑顔で話され、外出をとても楽しみにされている様子が印象的でした。
当日は晴天でしたが風が強い一日。
しかし、ご家族様やスタッフが協力して準備を行い、安全に外出することができました。
起居や移乗動作も軽介助で行われ、ご本人様も積極的に動こうとされる姿が見られました。
会場では梅の花を眺めながら、奥様や娘様と一緒に食事を楽しまれました。
団子やちらし寿司、たこ焼き、五平餅、甘酒、豚汁など、さまざまな食べ物を少しずつ召し上がり、「おいしいね!」と笑顔を見せてくださいました。
むせ込みもなく、ご自身でフォークを使って食べようとされる姿から、「自分でできることを続けたい」という思いも感じられました。
今回の外出支援には多くのスタッフが関わり、ご家族様にも大変喜んでいただきました。私たちは、医療や介護の提供だけでなく、「その人らしい時間」を大切にしています。
これからも、ご本人様とご家族様の思いに寄り添いながら、安心して在宅生活を送れる支援を続けてまいります。

エピソード4
大切な人たちと過ごした、思い出の喫茶店でのひととき
肺がんの治療を続けながら在宅療養をされているご利用者様のお話しです。
現在は疼痛コントロールをおこないながら、抗がん剤治療を継続されています。
先日、奥様・息子様とともに、ご本人にとって思い出のある喫茶店へ外出支援として同行させていただきました。
当日は、マスターをはじめ約20名ものご友人が集まり、温かい笑顔と声かけに包まれた時間となりました。
ご利用者様がこれまで多くの方に愛され、大切にされてきたことが伝わってくる、とても素敵なひとときでした。
ご友人が用意してくださった「世界一幸せです」と書かれたタスキやパーティー帽子を身につけ、ご夫婦で笑顔いっぱいに写真撮影をされる場面もありました。
ご家族との写真や、ご友人との集合写真など、たくさんの思い出が残る一日となりました。
ご本人様がこれまで大切にしてきた人とのつながりや、かけがえのない時間も、その方らしい人生の大切な一部だと考えています。
これからも、一人ひとりが大切にしてきたものを尊重し、その方らしく過ごせる時間を支えていきたいと思います。

